帰省

帰省した。10何年かぶりに私が学んでいた某大手予備校に足を運んでみると、4つあったうちの校舎2つがなくなっていた。あの時代は大手予備校の最盛期で、飛ぶ鳥を落とす勢いだった。そのころはまさか校舎がなくなるなんて露とも想像できなかった。しかし、確実に時代は変化して、予備校は縮小していた。

一方で、その予備校のある駅の左手側の韓国人街は年末のにぎわいを見せていた。ここは小学校の頃から雑多な商店がひしめき、ちょっと薄暗いけど、人のにぎわいはいつも途絶えないところだった。でも「あぁ、ここはふけば飛ぶような店ばかり。10年経ったらがらりと町並みは変わっているだろう」と予備校時代の私はちょっと傲慢に考えていた。

しかし、世の中は分からないもので、予備校時代にかよった韓国料理店は価格も当時そのままに、しっかり焼き肉ランチを営業し(しかも安い!)、またパチンコ店には、予備校時代にはまっていた羽モノのパチンコが現役で活躍していた。今にもつぶれそうなビジネスホテルもしっかりと残っていた。また実家の近所の酒屋も、コンビニ全盛期の80年〜90年前半には青色吐息だったのに、今もつぶれず商売を続けている。

10年前、うわべだけのはやり廃りしか見られず、規模の大小だけで単純にものごとを見ていた。しかし、10数年を振り返ってみると、浅薄なものの見方しかできない自分を恥じた。韓国人街には韓国人街なりの創意工夫があり、それは別に規模を大きくする方向ではなく、生き続けるという方向を選択して10年ある。

コンビニ全盛期で苦労したと思われる酒屋も、未だに生き残っているし、夫婦も仲良さそうに暮らしている。時代に流されない、とか言うわけではないが「時代が変化するなかでも、生き残るということはすごい。」と純粋にそんなことを振り返った帰省でした。