花とアリス

4月に働き過ぎたこともあり、代休で平日に休みをもらった。特に何をするでもない、と思っていたけれど、DVDを2本、映画を一本鑑賞した。

Sさんとのランチのあと、「踊る大捜査線」シリーズ『交渉人真下正義』を見た。次回へと続く伏線が最後にあり、結末が今一すっきりとはしなかったが、娯楽としてみるには、面白い映画だった。

DVDのうち一本は、Sくんお勧めの『半落ち』。Sくんから少し話を聞いていたせいで期待が高まり過ぎていたこともあり、前半の人々の優しさと現実の狭間で悩む人物像の描き方に比べて、後半の寺尾聡の告白がバランスが悪い気がした。そして吉岡秀隆が重要なセリフをいうということが、どこかのTVで見てしまっていて、今一「あぁ」と納得(?)というか、感情が動かされなかった。(内容はとても納得して「その通りだ」とは思うのですが、今一驚きがなく。。。)という前評判に振り回されて落ち着いて観賞出来なかった。

もう一本はお勧め!『花とアリス』。これは、キットカットのネットムービーとして流されていたものを映画化したものだ。(何故だが、これはDVDを買って観よう、と思っていた)たけど急な休日だった為、レンタルしたものだった。二人の高校生、花とアリスが一人の好きな人を巡ってのお話、という単純なストーリーだ。

いつもアリスに振り回されている花は、電車で学校にかよう宮本先輩に恋をする。宮本先輩を後をつけるだけで、なかなか告白できない花。ある日宮本先輩の後をつけると、宮本先輩はシャッターに頭をぶつける。その混乱に乗じて、花は「記憶喪失ですよ、先輩! 先輩は私に告白したんですよ。忘れたんですか。」と大胆な嘘を付く。その嘘は次第にアリスも巻き込み、アリスを宮本先輩の元カノに仕立ててしまう。。。

話は『半落ち』ほど語ることはできないが、映像化するという芸術とはこういうことか、と感心させられる。ストーリー自体も、花の嘘がばれそうでばれない、という通り一辺倒で観るものを引きつける訳でなく、あっさりと花の嘘はばれるし、宮本先輩も簡単にアリスに傾くし、とストーリーでは書くのもはらはらしない。

だけど、会話、しぐさ、アングルの切換(あまり切り替わらない)と、その風景の切り取り方には驚かされる。10分近くのアリスのバレエシーンがあるが、一時も飽きさせない。

結局本筋ストーリー以外の描写が細かく、雰囲気をつくり出すのがうまいのだ。上質のムースを食べているような感覚に陥るほどいい映画だ。これは絶対にお勧めで、DVDも買ってしまった。