TCP/IPと星新一
昔星新一のショートショートで完璧に計画された都市とその行き詰まり、という話があった。あらすじはこんな感じだった様に思う。
町の完成の式典に向かう朝市長は感慨にふける。「計画当初はあんなに批判されていたが、今日で町が完成する。完ぺきな交通網、完ぺきな水道、完ぺきな食物配送計画、完ぺきな居住空間。無駄の無い、全て完ぺきな都市工学のもとで計画的に進めていた都市が今日完成する」
そこに、秘書が駆けこむ。
「まだまだ式典には早いぞ。何を慌てることがある。完ぺきな交通システムで、式典に遅れる要因は何もないぞ」と市長。
「しっ市長、子供が平均身長が伸びました」と秘書。
「それは良いことではないか。この良き日になんと素晴らしいニュースじゃないか」
それをそばで聴いていた都市工学博士
「市長、この都市はお終いです。子供の身長が伸びるということは、この都市のシステムは子供の身長が伸びることを想定してしません。このままでは全てに破たんが来します。住居の大きさから水道、食物配送計画全てが破たんします。」
「博士、では水道管を太くし、食物配送計画を増やせば良いではないか」
「ですか、この無駄の無い完ぺきな都市にどこにそんな余裕があると言うのですか」
とかなんとかいう話だったように思う。
なんでこんな話を思いだしたか、といえば、ASAHI パソコンの記事に「国内のインターネットの通信量は324Gbps 総務省が試算」という記事が出ていたからだ。
総務省の試算によると、月平均でISPに入ってくるトラフィック(In)は116Gbpsで、出ているトラフィック(Out)は133Gbpsで、7社(IIJ、NTTコミュニケーションズ、ケイ・オプティコム、KDDI、ソフトバンクBB、日本テレコム、パワードコム)のトラフィックのシェアから、総量を324Gbpsと試算した、と出ていた。
この数字をみると、「ISPにとって「一般利用者はダウンロード中心」ということを前提にネットワークを構築することはできなくなってきています」と総務省も伸べている。
ついこの間までは「ADSLでも充分。ダウンロードの速度は・・・」みたいな宣伝がなされていたが、それも一概には言えなくなって来ている。
それにも増して、FTTHにしたら、ボトルネックは繋がっている家からISPまでのスピードよりも、無線LANの速度であったり、Mac自体のCPUの処理スピードであることが多々ある。
FTTH化を最終目標においていたら、意外なところで快適さが欠けていた。FTTH信者であった私にとってはショックであった。
それ以上にTCP/IPというプロトコルでいいの?、という気がしてきた。上記のようにTCP/IPベースのネットワークで作っていたら、ある朝、これ以上は処理できません。みたいな日が来るんじゃないか、と要らぬ心配をしてしまった。