今一分からない

Appleから、iTVが発表された。ハードウェア好きの私としては、是非ともiTVの今後に注目したい。

けれど今一iTVの位置づけといったものが釈然としない。まぁ動画配信のSTBで、TVに繋いでiTunes Storeで購入した動画を大画面で見られますよ。これからはレンタルビデオは要りませんよ、と言っているのだろうけど、既に動画配信だったら、各ISPで配信されているし、windowsならば簡便に見られるし、特に目新しいものではない。

WBSでもとりあげられていたが、ブルーレイディスクvsHD DVD陣営の争いも激化している。つまりは画質の戦いというよりも、覇権争いにどちらが勝利するかが問題となっている。そのキーはハード自体の提供価格と提供コンテンツの豊富さが鍵となる。

しかし、その位置づけはどこになるのだろうか。

  • 次世代DVDより簡便
  • 地デジより画質は劣る?
  • いつでも何処でも見られる
  • 繰り返し見られる
  • 映画館と同等のコンテンツ料金
  • iPodでも見られる

けどねぇ、と思う。映画は大画面できれいに見たいし、iPodなんかは情報番組とか、精々30分番組程度。2時間ドラマなんかは必要も生じない。だって行き帰りの通勤時間が2時間(片道)ということは通常ありえない。ドラマとか映画のストーリーの途中で再生中断なんて、盛り上がれない。

それに映画館と同等の料金体系ならば、わざわざ自宅では見ないなぁ。映画館の大迫力には敵わないし。HDDに保存というのは所有欲を満たすよりも、利便性の向上だから同じ価格を払うのならば、次世代DVDの方が良い気がする。

てなことを考えるとiTVは中途半端だなぁ、と思う。(コンテンツも豊富に揃えられるかなぁ)

そもそも、音声と動画を同列に考えていることが業界の間違いなのではないか、と思う。音声は業界主導で新規のマーケットが作ることが可能だけど、動画はユーザのスタイルが見えていないと、(狭い意味での)業界主導では新規のマーケットが作られない。

前にこの日記にも書いたけど、重要なのはスタイルなのだ。

音声というのは、シーンのバラエティに富んでいるし、ユーザサイドの自由がかなりきく。つまりはユーザが自由にシーンをカスタマイズできる、というかユーザのシーンにどんな音楽でも付け足すことが出来る。

例えば、自宅の中でリラックスして、音楽を聴くこともできるし、ドライブ中でもOK。浜辺で流すこともできる。通勤電車ないでiPodはもはや定番だ。つまりはBGM(Back-Ground Music)スタイルが可能だ。シーンの添え物であることができる。

だから、iPod格好良いでしょ、iTMSは使いやすいでしょ、というハードウェアを提案することだけで済む。そのスタイル(利用シーン)はユーザサイドで自由に選べるし、そのスタイル(利用シーン)は無限と言ってもよい。

でも動画はそんな訳には行かない。ドライブ中に映画を見ることはできないし、なんでわざわざ浜辺で映画をみなくちゃいけないんだ。(それに浜辺に行ってiPodで一人映画を見ている奴って格好悪くない?)これからストーリーが盛り上がって涙を流している途中で、降りる駅ということだってありえる。

まぁ、Back-Ground Moiveはあり得ずに、どうしても動画はシーンのメインとなってしまう。

そんなユーザのシーンを想像(あるいは創造)できずに、業界がハードウェアだけ提案しても、それは難しいのではないかなぁ。メインは動画つまりはコンテンツになってしまうので、コンテンツが主導するスタイル(利用シーン)となってしまうので、ハードウェアだけ提案では、ユーザがとまどってしまう。

だから、ロケフリ+PSPにしても、DVDウォークマンにしても爆発的なヒットとならないのでないかなぁ、と思う。

今回は、ポータブルの利用シーンしか語っていないけど、大画面についても、画質が良くなればなるほど、リビングルームvs映画館という対立軸でしか語れなくなって、ブレークスルーが難しいのではないだろうか。だってキッチンの小さなTVで画質のきれいな映画をみるニーズって余りない気がするしねぇ。